『白い歯で、成人式を』
〜オモシロ歯ばなし

<たかのこういち(著)>
<松本隆治(絵)>

 

 

双子なんですよ、私から見るとそれほど似ているとは思わないんですけど、皆さん、そっくりっておっしゃるの。性格もちがいますよ。

そういうお母さんの横で、にこにこと微笑む振袖姿の二人。

「まあまあこんなに大きくなって、評判どおりの美人姉妹ですね」と、受付の女性が感心する。

本当に綺麗。ご家庭の雰囲気もいいのね、ゆったりとして素敵。まわりの人たちを明るくするわ。「成人式、おめでとうございます」。受付の女性は、改めてそう言い、二人に記念品を手渡す。

「ありがとうございます」。二人は素直に頭を下げる。

ロビーは、振袖と紋付き袴の新成人にあふれ、あちこちで楽しげな笑い声が絶えない。都心から私鉄で30分ほど離れた郊外。成人式は、駅前の公民館で行われている。

「よう、喜美麻美姉妹、馬子にも衣装だな」。幼なじみのクリーニング屋の息子が笑いながら近づく。母親といっしょだ。

「二人ともとってもキレイよ。歯が白いからよけいに美しさが引き立つのね」。母親がしみじみと言う。

 

「歯は、働き者ですからね、お手入れが大切です。虫歯予防はもちろん、ホワイトニングや定期診断をおすすめします」。宮川院長がにこやかに言います。